現在6月9日。

 昨日の話。どうにもだるくてだるくてだるくて、うだうだうだうだと午睡を満喫していた夕方17時半頃か、電話が鳴った。どんなに具合が悪かろうと電話の音や玄関チャイムの音は無視できない性質なので、取った。うちの電話回線はうちのの名義で引いているので、名乗るときはうちのの名を名乗る。はい。あのー、うちの(仮名)さんのお宅ですか? そうですが、何か? うちのさんはいらっしゃいますか? 出掛けていますが、何か? お休みはいつでしょう? 土日は大概休みですが、何か? 奥様ですか? そのようなものですが、何か? うちのさんは何時頃お帰りになりますか? 深夜になると思いますが、何か? そうですか……。お名前とお電話番号を教えていただければ折り返し電話させますが。いえ、昔一緒に仕事をしていただけできっと覚えていないと思うので……またかけます。はあ。と電話終了。電話の主は女性。落ち着きがありつつちょっと可愛い声なのがまた私の気分を害する。私の声は落ち着きもなく可愛くもないから。即座にうちのにメール。とってもぁゃιぃ名前も電話番号も教えてくれない電話なんだけど、何だよアレは。気分悪い。因って今夜はメシ抜きな。慌てて電話してきたうちの。誰なの? 知るかよ! 名乗りもしなきゃ電話番号も教えない相手のことなんか知るか! あんたが悪くないことは解っちゃいるが、けたくそ悪いわ。今夜メシ抜き。ビールだけ冷やしておいてやる。気になる気になると念仏のように唱えるうちの。知らんっての! 名乗らない女からの電話なんてぁゃι過ぎる。何なんだよ、もう。私の午睡を邪魔してソレかよ! あー、苛々苛々。

 コンビニに行ってお菓子と弁当を購入し、私の夕食の準備は終了。どうにも気分が悪い。ストレス発散に買い物でも……とネットオークションを覗く。いい物はいろいろあったけれど、昨日終了の物がない。行き場のないストレス。食事を摂ってだらだらとPCで遊んでいると、夜、電話が鳴った。出ると無言で直ぐ切れた。あの女かどうかの確証はないけれど、ぁゃιぃ。そして23時半過ぎか、またあの女から電話。0時半位には帰ってくると思いますが、何か? じゃあまたかけさせていただきます、夜遅くに何度も済みません。いーえ、どうぞどうぞ……。余裕ありそうな返事をしている自分に苛々。0時29分にまたかかってきた。後5分10分で帰ってくる筈ですが、何か? そうですか。うちの、帰宅。私はPCデスクから離れず背を向けたまま、お帰り、とだけ。ついさっきまた電話があったよ。もう直ぐかかってくると思うよ。誰なんだろう、気になるなあ。おまいも気になるだろうが、こっちの方が余程気になるんじゃ! 電話が鳴った。うちのが取った。ああ、〜〜さん! 久しぶり! 今、どうしているの? などの雑談が開始された模様。無視を決め込み、でも聞き耳を立てる私。うちのが電話を取る前に言っておいた、名乗れ、はちゃんと言ってくれた。曰く、名乗ると怪しまれると思って名乗らなかったとか。名乗らん方が数倍ぁゃιぃわ! 受話器を置いたうちのが、主婦だったよ、と言った。だから、何? いや、だからって言われても……、昔のバイト先の仲間だよ。ふーん……。セックスレスである現状、浮気は致し方ないと思っている。しかしそれを家に持ち込むのはルール違反だ。うちのは、やましいことは何もない、と言っていたが。ざらざらした気持ちを抱えたままでいるのも、自分自身の気分が悪い。なんでまたわざわざ電話してきたの? と訊いた。曰く、夢に出てきたから電話してみた、らしい。何じゃ、そりゃ! 会いたいが為のきっかけ作りの電話にしか思えない。その女は主婦であり、子供から手が離れたと言う。そして昔の同僚などに連絡を取ろうとするも、なかなか相手が捕まらないらしい。そりゃあそうだろう。子供から手が離れたということは、数年は経ている筈だ。自分と同じだけ、相手にも年月が経っており、各々環境が変わっていても仕方がないだろう。

 何故そんな何年も連絡を取り合っていなかった昔の知り合いに電話をしようと思うのか。その神経が解らん。おまけに名乗らない。うちの曰く、その女は今また仕事を始めようと思っているらしい。そのツテ探しか? しかしPCも持っていないと言う。何が何だか。私なら、何年も連絡を取っていなかった相手が夢に出てきたところで、わざわざ電話をかけようとは思わない。しかも異性。20〜30代、人生の中で最も大きな環境変化を迎える年頃だ。相手が結婚している可能性だって少なくない。そこに名乗らないぁゃιぃ電話がかかってきたら……。あの女はちょっと足りない。うちの経由での私への伝言。名乗らなくて済みません。謝る位なら最初から名乗れや! うちのも私同様に転職を重ねてきた人間であり、昔の同僚が電話してくること自体には同性だろうが異性だろうが、構わないと思っている。相手に用事があれば用件と電話番号を聞き、私からうちのの携帯電話に連絡をして、その相手に電話させたことも何度もある。今迄、大した用事じゃないので、という人はいたけれど、名乗らなかった相手は初めてだ。

 私は絶対に悪くない。うちのも悪くない。悪いのは、逆方向に気遣いをした足りない女だけだ。それでもうちのと私の間にはピリピリした空気が流れた。私の斜めになった臍が元に戻らないから。うちのも時間に任せようと思ったらしく、弁解などはしてこなかった。あの女は、名乗らない、というだけでこんなに家庭内に波風が立つとは思わなかったのだろうか。相手は子持ちの主婦であり家庭ある人間。ちょっと考えれば解りそうなものではないか。やはり足りないとしか思えない。数ヶ月前に、うちはナンバーディスプレイを解約している。必要だったのはうちのが独立して家で仕事をしていたときの締め切りから逃げる為であり、外に働きに出るようになってからは必要なくなったから。昨日は解約を後悔した。解約していなければ相手の電話番号が表示され、うちのから電話をかけさせることで、半日ももやもやせずに済んだのだ。まだ少しもやもやしている。生協の配達がくる迄、もう少し布団に逃げよう。

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