現在7日。

 少し前にフリーマーケットでライヴ用に袴を買った話を書いた。買ったときはライヴ用だから上はバンドTでいいや〜と思っていたのだけれど、ドラマー脱退につき次のライヴはいつになることやら。今月頭にオフィシャル・サイトが更新されており、すわ新ドラマー決定か? と思いきや、愛しの君の別バンドのライヴ予定が組まれていた。そのライヴは明日。当然ながら激しく行きたい。今回の告知では出演予定時間迄がご丁寧に書かれていた。今迄は日時だけだったのに。前回のように酔っ払って救急車の世話になるバカが出ない為の対策か? と思った。真相は知らないけど。で、思った旨と行きたい旨をうちのに伝えると、物凄い勢いで莫迦にされた。自意識過剰! はい……。命張って目立って同じ小屋にまた行くのか? そうですね…。暫くライヴは自粛しようとは思わんのか? 仰せの通りでございます……。でも観たいし聴きたいんだよ! 今回のバンドは今迄小屋に予約を入れても毎回なんだかんだで行けなかったブルースのなんだよ! でも確かに前回倒れた小屋に行くのは恥ずかしい。どうしたものか。明日うちのが休日出勤するなら行こうかな、とやはり諦め切れない。客層も前回私が倒れたときと似た感じだろうし、羞恥心は確かに刺激される。でも手拭い巻いて行きたいなあ。明日の夕方迄悩もう。

 と、上記のように今回は袴が活用できるメイン・バンドのライヴではない。袴が日の目を見られるのはいつだ? と考えてふと思った。上に和服を着れば普段でも着られるじゃないか。私が和服を着た記憶があるのは、七五三・成人式の記念写真・卒業式の3回。全て他者に着付けてもらったので全く知識はない。知識どころか七五三は記憶にないし、成人式の記念写真は撮りたくない・着付けが苦し過ぎで本気で泣いてしまい泣き顔の写真しか残っていないので封印しているし、卒業式のときは谷崎の書いたナオミのイメージ再現。興味を持ったらすぐ検索。うへー……。和服と襦袢と帯があればいいってもんじゃなかったのか。半襟だの、単だの、袷だの、道行だの、単語しか知らなかった物がわらわら出てきた。なんで廃れてきたのかよく解った。洋服に比べて着付けが面倒だから、洋服に比べて高価だからだとしか思っていなかったけれど、それ以外にも廃れて然るべき事情がこうもあったとは。着物の選び方や帯の結び方ひとつでも同好の士と思える人たちの間で着物や人そのものへの値踏みがあったり、買おうと思っても呉服屋の軟禁もどきがあったり。そりゃ二の足踏むわ。昨今、地味に流行っているアンティーク・リサイクル着物でも呉服業界の因習が根強く残っている模様。怖い怖い。

 以前、某大手チェーンの呉服屋でうちのが仕事の都合で男性用の和服一揃えをレンタルし、足袋を購入したことがあった。今回調べて初めて知ったことだけれど、悪名高き呉服屋だったらしい。悪評をいろいろ読む以前にかなり苛々させられた。一度レンタル+小物購入をしただけで2〜3ヶ月に1度のDMと電話攻撃に遭っていたのだ。DMは捨てればいいだけだけれど、電話には本当に迷惑した。最初の頃。呉服屋(仮名)の仮名(仮名)ですが、うちの(仮名)さまはいらっしゃいますか? いいえ。奥様でいらっしゃいますか? いいえ。お母さまでいらっしゃいますか? いいえ。妹さんでいらっしゃいますか? いいえ。お姉さまでいらっしゃいますか? いいえ。……どちらさまですか? おまいこそどちらさまじゃ! とは言わず、何でしょう? と慇懃無礼に。このたび当呉服屋でセールを云々。いえ、今特に入用ではないので。そうですか、では。何度か回数を重ねて、呉服(中略)セールを云々、用があればこちらから出向きますんで。そうですか、では。もう少し回数を重ねて。呉服(中略)セールを云々。今、忙しいんですけど。いつならご都合がよろしいですか? さあ……。夜ならよろしいでしょうか? 用があれば(以下略。最後。呉服(中略)何ですか? このたび当呉服屋で閉店セールを云々。あの〜。云々云々云々云々。あのですねっ! 用があればこっちから行くってこの間も言ったでしょ? そちらでは相手の都合も訊かずに用件を押し付けるように話すんですか? 相手の都合を訊いてから話し始めませんか? 用があればこっちから行くって何度も言ってますよね? ガチャッ!! このガチャッ!! は向こうのガチャ切りなのが凄い。相手の都合を考えずに話し始め、こちらが文句を言うと一方的に逆切れ。そりゃ閉店にもなるわ。

 しかし私が被った迷惑DM及び電話はマシだった模様。むしろレンタルと足袋購入という本来の目的のみで帰れたという当然のことが、非常に稀なことだったらしい。この呉服屋の手口。まず欲しい物を比較的スムーズに選ばせる。そして会計に手間を取る。比較的というのは他の呉服屋と比べての話。手間を取るのは手口。わざと清算を引き伸ばし、その間にセールストークを繰り出すようだ。客は欲しい物の金額を払い終えて商品を受け取る迄は店を出られない。その間にあれはどうですか、これもどうですか攻撃。他チェーン店だと、有無を言わさぬ反物ぐるぐる巻きの刑に処せられたりもするらしい。刑を逃れるにはキッパリとした意思伝達か、買います発言のみ。そりゃ客足も遠のく筈だ。なら大手チェーンではなく小規模なところならいいのかというと、そういう店はそういう店で敷居が高いらしく、一見さんはとっとと帰っとくれ、という対応が少なくないとか。また着付け教室にも多くの罠が。アルバイト商法やらマルチ商法やら。日本の伝統民族衣装である呉服。見た目は百花繚乱、中身は魑魅魍魎。芽生えた興味が一気に引い……ていなかったりする。リサイクルを上手く利用できればフルセット3万程度で揃えられたりもできるようだし、着付けも本やネットで学習しつつ独学でもどうにかなることを知ってしまった。しかもリサイクル呉服の豊富な街がさほど遠くない場所にある。ネットオークションで、とも思ったけれど最初はやはり見て触って買った方が安心な気がする。はんなりと着こなして淑やかな仕草で街を行き、家では割烹着を着て家事。いいなあ! と脳内妄想は止まない。問題は中途半端な今の髪型と金だ。私が無精者で嵌り易く飽き易いことはどっかの棚にあげたまま、どの棚か忘れた。ことにしたい。

BGM/アルバム「無限の住人」

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