現在26日。

 土曜の話。幸いにもうちのはインフルエンザではなく、疲労からの喉にくる風邪だった模様。それは喜ばしいことなのだが、私よりも体温が低いくせに、やれだるい、やれ具合悪い、だのと抜かすのがやや気に障る。こっちはだるいのが常なのでいちいち言わないように心掛けるようになっただけで、基本的にはいつもだるいんじゃ! 今のおまいよりもきっと私の方が具合悪いんじゃ! などとは言わずに、渋々と眠剤が抜け切っていない体を起こして着替えてマクドナルドに昼食を調達に行き、ついでにうちのの為にホットレモンだのアミノなんちゃらというノーカロリーのペットボトルだの煙草だのを買い帰宅。もそもそと昼食を摂り、うちのが再び布団に入った。うちではいつも寝入り端に諍いが起きる。うちのの床に就く時間はまちまちであり、私は大概明け方に床に入る。まちまちなのに、うちのは寝るときに私が傍にいないと布団から嫌味を言い始めるのだ。既にその嫌味もパターン化しており、最初は、一緒に寝ようよー。次に、俺のこと嫌いなんだろー。最後に、規則正しい生活を送れ! とくる。最初とその次はいい。構って欲しいんだなあ、と可愛くすら思える。因って、嫌いなんだろー、が出てから寝付かれる分にはさほど腹も立たない。が、規則正しい云々が出てくると腹が立つ。うちのの寝る時間が一定していれば説得力もあるけれど、2時に寝たり4時に寝たりしている奴に規則正しい云々言われても、それは違うだろ、と。単に同時間に行動を共にして欲しいだけちゃうんか、と。

 常々そんな調子なので、昼食後にうちのが布団に入った際、私も進んで布団に入った。そして寝た。起きたら20時。うちのに、夕飯まだー、と起こされたのだ。ふらつきながら起きてスーパーに買いだしに行った。土曜の夕食は鍋物と数日前から決定していたので買い物は簡単……ではなかった。うちでは滅多に鍋物をしない。何故なら椅子を出さねば届かない収納場所にカセットコンロと土鍋をしまっており、私がそれらを取るのが面倒だから。うちのは鍋好きで、年に数回の鍋物の為の買い物時はいつも一緒にスーパーへと行っていた。土曜のうちのは風邪っぴきだったので一緒に行ってはくれず、私ひとりでスーパーへ。買い物籠を手に取り店内を歩きつつ途方に暮れた。はて、鍋の材料ってなんだっけ? 葱と白菜は入っていたと思う。あと椎茸。それから鶏肉。あ、豚しゃぶ用の肉が安くなってる。これも使うか。豆腐は絹ではない。木綿か焼きか。迷って焼きとうふを籠に入れ、近くにあったがんもどきも鍋に付き物のような気がして籠へ。魚介コーナーへ行き生食用の海老を発見。水炊きでありながらしゃぶしゃぶであり、また肉ではなく海老をしゃぶしゃぶっぽく食すのはオツな気がした。なので海老を手に取り、それから魚河岸あげ。鍋に合うかどうかは判らなかったけれど好きだから。最後に雑炊用の卵も。買い物終了。

 帰宅してカセットコンロと土鍋を出し、キッチンのガスコンロにて土鍋に少なめに水を張り昆布投入。出汁取り。その間に野菜等を切った。ダラ似非奥の私にしては珍しく椎茸には十字の飾り切りも施し、土鍋の湯が沸き浮いてきた昆布を取り出し、鍋に野菜やとうふや揚げ物類を投入。蓋をしてしばし待つ間に米を研ぎ早炊き設定でスイッチを入れたところで鍋に鶏肉も投入。またしばらく煮て居間に用意したカセットコンロ上へと土鍋を移して食事開始。失礼なうちのは受け皿に対して、ちゃんと洗ったか? 鍋に対して、ちゃんと昆布で出汁は取ったか? などと訊いてきた。最近段々解ってきた。うちのは失礼なのではなく、無礼なのかもしれない。失う為には最初は礼が存在していた筈だ。その気配が見えない。それはともかく、当然ちゃんと受け皿は洗っていたし、上記のように出汁も取った。土鍋の蓋を開け、うちのはきょとんとした。どうして鶏が煮えてないの? 最後に入れたから。間違っているらしい。どうも鶏は最初に入れるものなのだそうだ。今回私は昔、実家で鍋について話しているときに親から聞いたことを思い出しながら作った。親曰く、水は少なめにして白菜をよく煮てそこから水分を出させた方が美味しい。これが私の中の基本になっていたので、最初に野菜類を入れたのだ。違ったのか。ひとつ勉強になった。

 魚河岸あげは本来は鍋に必要ではないらしいけれど、好評だった。その代わり、がんもどきが要らない、と。次からはやめよう。ふたりで鍋を突付いてしばらくしてから、葱が入ってたのか! と驚かれた。白菜の下に隠れて見えていなかったのだ。そして葱には存分に火が通りとろっとしていた。私は長ねぎでも玉葱でもとろっとしている方が好きなのでこれでいい。うちのは葱にシャキシャキ感を求める。知らん。海老のしゃぶしゃぶは失敗。食べられなくはないのだけれど、外側は熱々で内側は冷や冷やという非常に口内が戸惑う結果に。従ってしゃぶしゃぶ状にして食すのは諦めて投入して煮えるのを待った。長時間食していると中身が減ってくる訳で、すると底も見えてくる訳で。以前、私は鍋を焦がさせたら日本一だか世界一だかと書いたことがある。土鍋にも通じていた。葱やとうふが焦げていた……。焦げをお玉で削ぎ落としてさて雑炊にと言うところで、うちのがお腹いっぱいと言い出した。なので雑炊は日曜に持ち越し。で、昨日の昼にまた、ごはんはー? と起こされて眠剤が抜け(中略、雑炊を作った。何かが足りない。醤油を垂らす。まだ何かが足りない。ああ、卵を落とし忘れた。うちのは不満気だったけれど、まあいいではないか。食えない物を出した訳でなし。それにしても買い物で途方に暮れた割には大した失敗もなく、そして鍋物はとても簡単だと知った。コンロと土鍋をしまうのも面倒なので暫く鍋類にしようかと思案中。また同じ水炊きでは芸がないし、牡蠣の土手鍋か鴨鍋か……高くつくなあ。鮟鱇鍋が食べたいけれど国産物の鮟鱇は近所には売っていない。取り敢えずはおでんかな。ダラ奥の多くが鍋祭・おでん祭を開催する理由がよく解った。因みに買出しから食卓に鍋を出す迄にかかった時間はちょうど1時間だった。楽ちん。

服装/セレクト物のネル素材ピンク地花柄ツインカットソー+A.P.C.のデニムパンツ+モナミピエルロのベージュのレザージャケット+ピンクの厚手のマフラー+パトリックの紺のスエードスニーカー

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