現在10日午前。

 うちのは終電に乗り遅れそうなときと喧嘩中を除き、ほぼ毎日、律儀に帰るコールをしてくる。私の声が聞きたいからではなく、コールをしておかないととっ散らかった部屋や夕飯の支度ができていない家に帰ってくる羽目になるからだ。昨夜のうちのからの帰るコールでは頗る機嫌が悪かったので、買出しと掃除で疲れていた私はうちのの帰宅を待たずに眠剤を投入して寝た。不機嫌だったのは、私がメールで今月の生活費の補填を頼んだからである。年末は物入りなのだ。普段ならばどうにか毎月もらっている生活費でやりくりできるが、今月は既に財布に数百円しか残っていない。大掃除の道具と洗剤で約10000円、明日のうちのの誕生日の夕食代に約10000円。働いていない私が、うちのの誕生日に豪華な物をプレゼントするのは何かが違う気がした。生活費は私が自由にしていい金銭ではあるものの小遣いではなく、そこから高い物をプレゼントするのは如何なものかと考えたのだ。そこで思いついたのが、豪華な夕食と手作りケーキ。手間暇で自分の稼ぎのなさをフォローしようと考えた結果がこれなのだが、思いついたメニューが悪かった。牛タン。スライスは比較的安価なくせにブロックは予想以上に高かった……。明日の夕飯はタンシチューとリゾットとケーキである。ケーキを焼くのは凡そ10年ぶり。しかし絶対に失敗はしない自信がある。デコレーションケーキを作る際の肝はスポンジの膨らみ具合だ。オーブンで焼くとうまく膨らまないことがある。炊飯器を使えば絶対に綺麗に膨らむので心配なし。炊飯器内釜の水分量の目盛の跡は残るが、生クリームで隠せるから気にしない。スーパーに買い出しに行き、驚いた。便利な世の中になった物である。電動ミキサーがないうちで、ケーキ作りにあたり最も大変なのはメレンゲの作製だ。時間もかかるし筋肉痛にもなる。けれど、陳列棚を見回すと、メレンゲ作りの必要がない、しかも薄力粉等の分量を測る必要もないキットが売られていた。迷わず購入。生クリームのホイップも面倒だが、便利な世の中には、既にホイップされた状態で売られているクリームも存在しており、私のような不精者にとって実に有難い。残る問題はタンシチューである。初挑戦なのでうまくいくかどうか。金がかかっているだけに失敗は避けたく、市販のルーを使う予定だが、さてはてどうなることやら。市販のルーを使うからには味に問題はないだろう。ネックはタンがちゃんと柔らかくなるかどうかだ。時間をかければ柔らかくなるに決まっている、と勝手に思っている。因って今夜から煮込み始める予定。凄い。私のくせに主婦っぽい。私の中に料理担当の人がいるかのようだ。いや、いない。反語。

 昨日は久々に通院した。調剤薬局でカルテを確認してもらったところ、前回の通院から約3週間空いていた。週一ペースでの通院なのにこんなに空いたのには理由がふたつある。ひとつは入浴不全によりばっちくて外に出たくなかったから。もうひとつは親が主治医の元へと再襲撃をかけるのに鉢合わせるのが怖かったから。あれ以来、親は主治医の元には行っていないらしく一安心。主治医曰く、あのくらいの歳になってしまうと頭も堅くなり、また意固地にもなるので精神療法が効かない。ということは、やはり主治医の目から見て私の親は治療の必要な人間だったのだ。今後はあの親はいないものと思って来ても追い返し、私の治療のみに専念して欲しい旨を伝えると、追い返すことはできないと言われた。追い返すこと自体は可能ではあるけれど、そうすると形を換えて黒猫ちゃんたちのとこにまた攻撃が向くよ、と。だから今度は来ても大平元首相のように対応すると言っていた。あー、うー。いい主治医である。「症例A」を読んでから気になっていた、私のDIDの可能性について訊いたところ、否定された。やはり中の人などいないのだ。安心。私の主治医はDID患者を診たことはないらしい。しかし、存在の否定はしていない。これは少し意外だった。日本では未だDIDそのものへ懐疑的な認識がある。失礼ながら、私の主治医もDIDに懐疑的な医師だと思っていたのだ。主治医の専門が統失だからDIDへの認識は進んでいるのかもしれない。話を戻す。養子縁組解消届に判を押して以来、親から私への連絡は一切ない。私からも連絡していない。親は主治医からの4者面談の知らせを待っているのかもしれないが、知らん。親を除く主治医もうちのも私もそんなものは望んでいないのだ。勝手に待ってろ。衣類は処分中なのでもう送ってこなくても構わないけれども、書籍類にのみ未練が残っている。のみと言いつつ、ツモリのコレクション・ラインの一点物スカートとA/Tのジャケットとギャルソンのスカートとジルスチュアートのワンピースだけは衣類も名残惜しいが……。

 昨日した掃除。キッチンの蛍光灯の笠の拭き掃除、カーテンの洗濯、エアコンと衣類ラック・テレビ・その隣の棚の下への掃除機がけ、雑誌類の整理。一昨日窓の掃除をしたことで、うちは格段に明るくなった。今迄暗かったのは日当たりの悪い部屋だからだとばかり思っていのだが、それだけではなかった。恐るべし、脂による茶色いフィルム。今のうちは明るい。採光性に問題なし。カーテンを洗濯したことで更に明るくなり、また蛍光灯の笠を拭いたことで夜も明るくなった。居間の蛍光灯の笠は椅子を使っても私の身長では届かないので、うちのに掃除してもらう。雑誌類の片付け。4年分以上の噂の真相を思い切りよく一気に処分。nonnoとminiは最新2冊を除いて必要な部分のみスクラップして処分。美的もスクラップして処分。その他の雑誌は自分が執筆した物を除き全て処分。スッキリ。書棚から溢れていた本が全て収納できた為、床の散らかり具合がかなりマシになった。思えば昔、噂の真相とガロと競馬ブック以外の雑誌類は全くと言っていい程に買わなかった時期がある。雑誌は古くなる物、と考えていた時期だ。これからはほぼ毎号買っているnonnoとmini以外はなるべく買わないようにし、買っても1ヶ月以内にスクラップして処分することにしよう。去年、毎月Voceと美的を購入していた時期があったのだが、まあ溜まること溜まること。雑誌も書棚に入らなくなったら処分時期である。今更ながらの学習。

 私の大掃除の様子を見て、うちのに、何か読んだの? と訊かれた。うちのは私が何かの行動を起こすときは本や雑誌やサイトの影響を受けてのことだと思い込んでいる節がある。確かにそういうことも多いが、今回は違う。うちのに掃除を頼まれたのがアドレナリン大放出のライヴ翌日だったからだ。強いて何かの影響を受けていると言うならば、友人が読んだという、英国式生活の方法、だかなんだかそんなタイトルの本の内容を聞いたことに起因する。その本に書かれていたこと。大掃除は掃除・片付けが下手な日本人特有の風習であり英国人はもっとこまめに掃除や片付けをしている、英国人は衣類を余り所有せずにアクセサリ類で雰囲気を変える術を身につけている、など。英国云々を抜きにして、確かにそれは理想的な生活方法ではある。来年からは私は英国人になろう、と思った。そして大掃除をしなくていい生活に。英国人になるにあたって問題がひとつある。英国は食事が不味いことで有名な国だ。食文化には日本の味を残したい。

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