この日付は父の命日だが、記している今は22日早朝である。

 今夜はライヴだ。先日チケットぴあで予約したチケットをコンビニで券にしてきた。発売開始から1時間半後に取れたチケット。一般入場番号1桁台前半であった。昨日、やっとFC入会の振込用紙が届いた。私の宛名は愛しの君の筆跡に限りなく近い。と思いたいのだがご本人なのだろう。やはりFCスタッフはいないという噂は本当らしい。金は要らん、手伝わせろ! と思うが怖くて言えない。怖いのは愛しの君ではない。メンバーを神格化した一部の狂信的ファンである。本気で怖い。近付かなければいいのだと思っていたのだが、そういうものではないらしい。被害妄想の可能性も3%くらいあるが、先日神格化した狂信的ファンの小心者に、とんでもない悪意に満ちたイタズラをされてしまったのだ。もしその小心者の正体が判ったらどうしてくれよう。打ち首獄門にしても私の腹は納まらないだろう。

 ネットオークションにお宝詰め合わせセットが出品されていた。通常、私は即決価格設定をしていない出品者に対して即決価格を訊ねたりはしない。私も出品することがあるので、出品者の気持ちもある程度解るからだ。誰だって自分の物が10円で売れるよりは10000円で売れる方が嬉しかろう。しかしこの冷静さを一気に沸騰させてしまう程のお宝の数々。訊いた。答えが返ってきた。吹っかけられる覚悟での質問であり、また即決そのものを否定される覚悟もあった。なのにその出品者は善意の人であった。神認定。サバスだ。予想の1/6の価格を提示してきた。安っ! 放っておけば落札価格はその提示額の4倍には達したであろう。想定外の安値提示により交渉開始。交渉は成立し、現在そのお宝の数々は私の手元にある。しかしこれにより一部の人間に恨みを買ったようだ。そしてその中に悪意の小心者がいた。

 出品者の即決額提示により、私以外にも即決の申し出が複数あったらしい。しかしサバスは神である。天国への階段を私の為に作ってくれた。天国への階段はサバスではないが。メール交渉もあったようだが、質問欄にその額で譲って欲しいと書いた者もいた。そのお願いへのサバスの回答は素晴らしく、完璧だった。あくまで私にとっては。最初の方の返事を待っているところなので。サバースッ!! 即決申し出をした人の中には倍額提示をした人もいたかもしれない。いや、いたに違いない。私ならそうする。しかしサバスは金に揺るぐ精神の持ち主ではなかったのだ。早い者勝ちの理論。外馬に乗り損ねた者に恨まれた。それが発覚したのは昨夜である。予兆はその数日前、交渉成立の翌日からあったのだが、私はそれを予兆だとは思っていなかった。甘かった。

 知らない者から私のフリーメールアドレスにアクセスがあった。HNは違うが、あの知人だろうと勝手に予測していた。昨夜私がPC前にいたときに、その者もPC前にいたのでまずは訊いてみた。どちらさまですか? 全く知らない人だった。混乱。そのアドレスを知った経緯を訊き出す。某巨大掲示板某板某スレに貼られていたから登録してみたのだと言う。普段行かない板。知らないスレ。教えてもらったスレを見ると名無しが本文なしでメール欄に私のフリーメールアドレスを貼っていた。そのアドレスを知っている者は10人もいない。その中の誰かに嫌われたか? しかしここ迄の悪意を見せられるなら幾ら鈍い私とてその知人と接しているときに気付いただろう。思い当たらない。某巨大掲示板の該当板に出入りしているその者はネットに或る程度は精通していると見て、ひとつ質問をした。予想通りの答えが返ってきた。やはり手抜きや安直な発想に基づく行動はいけない。パスを変えていたのはせめてもの救いか。

 その者は私が小心者の悪意に満ちたイタズラにより迷惑を被った被害者だと知り、アドレス登録を外そうかと申し出てきてくれた。そんなことは最早どうでもいい。苛々鬱々、更にそれに勝る立腹中の私は心当たりを語りつつ、その者に愚痴をこぼした。その者もよく聞いてくれた。サバスが結んだ縁とはなんと不思議なものだろう。断じて小心者が結んだ縁だとは思わない。いろいろと話すうちにその者と私の音楽の趣味が共通していることが判明した。オリコン糞喰らえ! スラッシュ万歳! 偶然の出会いでこうも意気投合していいものか。その者が私の好きなバンドに興味を持ったようなので音源などを幾つか送った。どっぷりと嵌ったようだ。またその者がくれた音源もなかなかに私好みであり、どちらさまですか? から始まった会話は延々4時間続き、大変に盛り上がった。互いがやや似た境遇にあることも意気投合の要因のひとつであろう。朝には歌、夜には恋。その者と恋に落ちることはまずないだろうが、朝には歌である。様々な意味でサバスに感謝する。悪意の小心者に告ぐ。悪意は私の友人を増やしてくれた。ウイルスはひとつもこなかった。エロサイトの宣伝メールは2通きた。宣伝メールは単純に鬱陶しさを感じたが、それよりも新たな友人ができたことの方が大きい。因みにそのスレは今夜には既にdatに逝っていた。

 新たな友人は私よりも若い。ネット上のみの付き合いで一番仲のいい友人も私より若い。若さは得てして柔軟性に富んでいる。ネット上のみの付き合いで一番仲のいい友人は元々私と同じバンドのファンである。新たな友人も恐らく嵌る。両者共に男性である。やはり私は異性との会話の方が弾む。女の大半は莫迦だから嫌いだ。男女の話ではなく、若さの話である。私の好きなバンドはもう15年程活動し続けている。デビュー当時からのファンもいるが、私のような出戻りもいる。そして若年層にもライトなファンが増えつつあるようだ。もっともっと若年層のファンが増えて欲しい。さすれば年季の入った狂信者の影も翳んでくるというものだ。そのバンドはこれまでコアなファンに支えられてきた。少し語弊があるか。コアなファンしかいなかったに等しい。今迄はそれはそれで良しと思っていたが、今回のイタズラでライトなファンの必要性を私は強く感じた。サバスから購入した商品の中にファンの姿が垣間見える物がある。それが欲しくて購入したも同然なのだが、蓋を開けると恐怖に慄く物だった。メンバーたちはファンに対し、どんな感情を持っているのか本気で知りたくなってきた。訊いたところで教えてはくれまいが。時として不気味さを感じることもあることは想像に難くない。その物だけでなく私自身が他ファンを見て、また他ファンから他ファンの話を聞いて、私がメンバーなら解散を考えるくらい不気味な諸々を知った。狂気の沙汰である。バンドの世界観からして一般受けしないのは解っている。それにしてもここ迄狂気に満ちなくてもいいではないか。日本人の耳の疎さというものも同時に実感される。私の或る友人はこう評す。ギターは上手いが歌が嫌。彼女は自身もバンドを組んでいた経験がある。私よりも余程耳は肥えている。その彼女でもこうである。否定はしないが、肯定もできない。

コメント