少し前に観た深夜番組に「小倉優子ファン」が数人出ていた。彼らは彼女と一発……等とは思わず、結婚したい……等とも思わず「友達になりたい」と言っていた。その気持ちは解る。芸能人であれ身近な相手であれ、好みの異性がいればお近づきになりたいものだ。しかし中にはそんな謙虚な皮を被った尊大な夢は描かず単純に、ゆうこりんと一発! と冗談半分に思っているファンも多いことは想像に難くない。きっと 一発! と思っている者も仲間内でしかそんな話はすまい。その場に小倉優子を神聖化しているファンがいることが判明していればそんな直接的な話題は避ける筈だ。神聖化が良いことかどうかは別として、避けられなければ大人として少し問題あり。TPOである。けれどその場が皆冗談半分で一発云々と盛り上がれる連中のみだったら? 全てを語るは野暮である。

 ところで、フライングVやツーネック等の特殊モデルを除く一般的なギター及びベースの形は何を模しているか。それを知れば男性ミュージシャンに発情する女性ファンの多さも納得出来るだろう。ミュージシャンを神聖化したり猫の脱ぎ方を知らなかったり野暮な猫しか飼っていなかったりするのでなければ。様々なコードを矢継ぎ早に押さえる左手とピックで素手で弦を弾く右手。それを見て連想するコト……。他人様のそういう連想すら許容範囲外なチャイルディッシュな人はもう置き去って、上記の連想はむしろ自然なことと言えまいか。もっと言えばセクシャリティを感じさせないミュージシャンは駄目ではないか。楽器をきちんと扱えていないということに繋がるのではないか。演奏姿にセクシャルなものを感じさせるプレイヤーであることは、いいミュージシャンの条件のひとつだと私は思っている。以前、と或る雑誌で取ったアンケートを見せてもらったことがある。女性が男性を見てセクシャルなものを感じるパーツはどこか、という物だ。指・手という回答が多かった。女性には着衣の状態でも乳房や臀部等の記号として解り易い性的パーツがあるが、男性には無い。しかしながら指・手にセクシャルなものを感じる女性が多いらしい。私もそのひとりだ。楽器に限った話ではなく、煙草を燻らせる指や運転時にハンドル操作をする手にもセクシャリティを感じる。手指そのものについて述べるならば、筋張った手に細長い指、そしてその先に乗った短く切り揃えられた爪が好みだ。多少見栄えの悪い太目の指の方が実は器用な人が多く、或る面での実用性に於いては有効なのは承知だが形の好みとして。今、私が密かに恋心を抱いている人の手指は理想形と言える程に好みである。あの手で、あの指で触られたいと思う。自然な発想だろう。握手をしてもらったこと、また手を繋いでもらったことがある。あの少しひんやりとした感触は忘れられない。忘れたくない。その握手・手繋ぎ以来、自傷行為が格段に減った。自分の手が宝物のひとつになったからだ。また握手なり手繋ぎなりしてもらうべくハンドケアも以前よりマメにするようになった。ネイルケアにキューティクルオイルは不要。日本薬局方のオリブ油で事足りる。そしてハンドクリームはザーネからメディカルケアへ移行。ザーネは馴染みが早いのが利点だが、持ちが悪く何度も付け直さなければならない。メディカルケアは寝る前に塗って一晩経てば一日持つ。オススメ。

 「ミーアンドジェーン・ドゥウ」という漫画がある。中山乃梨子にしてはご都合主義なオチの短編だ。内容を要約すると、売れているバンドのファンの女性が自分の好きなギタリストを拉致して飼って紆余曲折の末に両想い。記号的少女漫画の世界の話。現実に実行したら犯罪。しかし夢を見せてもらった。私が今、恋心を抱いている相手はギタリストだからだ。長く活動をしているのにお世辞にも売れているとは言えないが。そもそも今現在、本人たちに売れたいという思いがあるのかどうかすら疑問。ファンとしてはメンバーがバイトをしなくてもいい程度には売れて欲しいような、そうなるとライヴチケットが取り難くなるから売れないままでいて欲しいような何とも複雑な気持ち。

 無論のことだが、そのギタリストの姿形だけが好きな訳では無い。作られる多彩な楽曲・安定感が在りつつも挑発的なプレイ・音程が常に危うい唄、それらも当然全て込み込みで好き。先日、その人についての裏話を少しだけ聞き齧った。かなりショックな話であり涙腺が固くなっているにも拘らず泪が出そうなほどにキツイ話だった。そのときまで自分では只のミーハー気分のつもりだった。当初のだめが千秋の王子キャラをからかっていたに近い気持ちでいたつもりだったのだ。しかしどうやら違ったらしい。のだめにとっては千秋との連弾が引き金だが、そんな引き金なかったのにその人は私の心を侵食してきていたようだ。侵食されればされるほどに切なくなる及び癒される。恋心とは実に不思議なものである。

 やっと日付が追いついた。ここまでの日記は全て15日に記された物である。

BGM/アルバム「修羅囃子」「無限の住人」等

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